年頭所感

 

西馬会長(年頭) ステンレス協会 会長
西馬 孝文
(JFEスチール株式会社 常務執行役員 )

謹んで新春のお喜びを申し上げます。年頭にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

 昨年の国内経済は、消費増税の反動が長引き、経済成長率は低水準に留まりましたが、行き過ぎた円高が是正され、株価は堅調に推移する等、明るい兆しも見えはじめています。一方世界経済は、アメリカが比較的順調であるほかは、欧州は低成長が継続、これまで成長を牽引してきた中国をはじめとするアジアが減速する等、力強さに欠けるものとなりました。加えて、ウクライナや中東における紛争やエボラ出血熱の猛威等、経済にも大きな影響を及ぼしかねない不安要素もあり、今後の成り行きが懸念されます。
ステンレス業界におきましても、国内需要は概ね堅調に推移したものの、残念ながら期待したレベルには達せず、ニッケル価格の不安定な動向とも相俟って難しい舵取りを余儀なくされた年となりました。また、海外マーケットにおいては、中国を初め東アジアを中心とした過剰設備能力問題が継続する中で、需要が伸び悩んだことから、競争が激化し、通商問題も多発することとなりました。

 さて今年の展望ですが、私は、様々な懸念材料はあるものの、国内経済につきましては、企業業績の拡大や雇用状況の改善が見込まれ、長く苦しめられてきたデフレーションからの脱却に向け、着実に前進していくと期待しています。鋼材需要につきましても大震災からの復興および国土強靭化に向けた取り組みが加速し、それが東京五輪につながっていくことで、中期的にも比較的安定した水準が継続するのではないかと考えております。
  一方海外では、今年も3%台の経済成長率が見込まれ、鋼材需要は漸増するものと思われますが、供給過剰構造により、厳しいマーケットが継続することは覚悟せざるを得ません。これにともない、輸入鋼材の動向にも引き続き注意が必要です。

 このような中、わが国ステンレス産業が競争力を持ち続けていくためには、先進性に富んだ多彩で高品質な製品を安定的に生み出す製造力と、優れた需要家および流通を有しているという強みを最大限に発揮するとともに、それに一層の磨きをかけていく必要があります。
 ステンレスは、耐食性や耐熱性、強度、意匠性、高リサイクル性など多彩な機能を併せ持つ素晴らしい金属です。今後も我々が一丸となって不断の努力を続け、社会のニーズを踏まえた商品開発・市場開拓をスピーディーに行っていくことで、将来にわたり継続的に発展できると確信しています。

 ステンレス協会といたしましても、業界の発展に寄与すべく、今年も尽力していく所存でございますので、会員各社の格別のご指導とご支援をお願い申し上げます。

 最後になりますが、皆様方のご多幸を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

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