作品カテゴリー:建築・土木部材
津波対策二相ステンレス鋼ゲート設備
日立造船株式会社 東北支社
選考理由

  東日本大震災では、東北沿岸部を中心に津波による甚大な被害を受けました。この教訓から、全国で津波対策インフラの建設が進んでいます。
 陸閘(りっこう)と呼ばれるゲート施設もその一つで、平時は開放された状態で人や車両が通行し、緊急時は閉鎖して街を守ります。東日本大震災以降、津波発生時の開閉操作など運用面での改善や、材質や構造面での新技術の採用が検討されてきました。
 なかでも、「浮上式」フラップゲートは、ゲート本体の浮力を利用し無動力での自動開閉を実現し、ゲート操作による被災という社会問題を根本的に解決しています。「浮上式」フラップゲートの実用化には、扉体を軽量化しつつ、強度アップと耐摩耗を向上させるという、相反する特性を満足する必要がありましたが、高強度で高硬度の二相ステンレス鋼が開発されたことで、「浮上式」フラップゲートの実用化に貢献しつつ、「軽量化にはアルミ合金が優位」との通説を覆すことで、素材としてのステンレス鋼の可能性や魅力度を大きく向上させました。
使用鋼種:SUS821L1(NSSC2120)、SUS329J4L
使用量等:最大 50トン(1門あたり)
推薦会社:新日鐵住金ステンレス株式会社