作品カテゴリー:建築・土木部材
重力波望遠鏡「KAGRA」のレーザー干渉計設備機器
東京大学宇宙線研究所重力波観測研究施設
選考理由

 「KAGRA」は、重力波と呼ばれる極僅かな時空のひずみを観測する日本の重力波望遠鏡であり、そのひずみを正確に捉えるために、日本独自のさまざまな高度先端技術が駆使されています。
 天文学、基礎物理学など多種の学術部分野の最先端技術を集積して設計製作したKAGRAのレーザー干渉計は、そのほとんど全ての構成材料がステンレス鋼で、800トン弱が使用されています。これらのステンレス鋼は、溶接性や加工性などの一般的特性に加え、特別に要求される性質や機能に応じて、ガス放出ミニマム化の表面調整処理や極低温非磁性高強度具備など、高度な製造調整や性能付与を施したものです。
 ステンレス鋼は、8年以上に及ぶ建設・製作・調整を経て、今年稼働するKAGRAの一つの礎となり、さらにそれを通して、最先端の基礎物理学や重力波を活用した新たな天文学を支えることに繋がっており、基礎科学分野の発展への貢献とともに、基礎素材としてのステンレス自体の可能性の拡大とイメージアップにも貢献するものです。
使用鋼種:SUS304、SUS304L、NSSC130S
     (ASTM A666 XM-11相当)
使用量等:約795,000kg
推薦会社:日鉄ステンレス株式会社