作品カテゴリー:機能性部材
SUS329J1相当二相ステンレス鋼採用ケミカルタンカー
「SPARROWHAWK」「SUNBIRD」
北日本造船株式会社
選考理由

 ケミカルタンカーは国内外の石油・化学産業で使用される液体化学製品を運搬する重要な役割を担っています。特に硫酸や硝酸など腐食性の高い貨物を運搬するケミカルタンカーは貨物用タンクにステンレス鋼が使用されています。これまで日本国内で建造されるケミカルタンカーは主にSUS316Lを採用してきましたが、近年SUS316Lの主要成分であるニッケルやモリブデン等、レアメタルの価格高騰が船の建造における大きな課題となっていました。
 今回建造されたケミカルタンカーには、SUS316Lに比べてニッケルやモリブデンといったレアメタルの添加量を削減しつつSUS316Lを上回る高い強度と耐食性を兼ね備え、更には大入熱による高能率な溶接が可能な二相ステンレス鋼が世界で初めて採用されました。
 二相ステンレス鋼の採用により、レアメタル高騰のリスクを低減しつつ、高強度を活かすことで環境規制にも対応した最新船型の設計を実現しており、今後ケミカルタンカーの需要拡大および液体化学製品輸送の活性化が期待されます。
使用鋼種:二相ステンレス鋼(NSSC 2351)
使用量等:約1,300トン/隻
推薦会社:日鉄ステンレス株式会社