会長就任に際して 木村始 新会長

木村会長(就任挨拶a) 

 

 

 

ステンレス協会 会長
木村 始
(日本冶金工業株式会社 代表取締役社長)

 

 この度、ステンレス協会の第71回定時総会におきまして、会長に就任いたしましたので一言ご挨拶を申し上げます。  

 足許のわが国の経済を取り巻く環境は、中国や資源国経済の減速に端を発した世界経済の混迷の中、先ごろ開催されたG7サミットでも「リーマンショック並みの危機再発」を懸念するメッセージが発せられるまでに至りました。これを受け、わが国では来年4月に予定されていた消費税の引上げが2年間延期されるなど、景気刺激に向けた様々な対応が取られようとしています。
 ステンレス産業が循環的に為替問題や景気動向等の影響を受けることは避けられませんが、構造的にも様々な課題を抱えている事も現実です。中国を中心とした生産能力の増強によって、供給過剰問題が顕在化してきております。これはステンレスに限らず鉄鋼業全体の問題として国際的にも強く認識され始めています。各国経済に限らず世界経済全体の成長が鈍化する中では、こうした供給過剰問題が先鋭化し、国際的に拡散する懸念もあり、市場の健全な発展が損なわれる可能性も否定できません。
 一方で、我々日本のステンレス業界にとって重要なことは、ステンレスが持つ優れた品質特性(安全、衛生、意匠性)や高いリサイクル性など、これまで以上にステンレスが社会に支持される時代になってきている、という認識の下で、それらを活かした市場開拓、或いは又、需要産業における日進月歩の技術開発に対応したステンレス自身の変革を進めていかなければなりません。既に、太陽光発電やスマートフォン、海洋構造物など、或いは究極のクリーンエネルギー水素時代への適用など、新たな分野への使われ方も始まっています。こうした展開を幅広く皆様に理解して頂き、ステンレスの活躍の場をさらに拡大させていくことが重要だと考えています。
  ステンレス協会は昭和34年(1959年)に設立され、半世紀を越える歴史を積み重ねてきました。この間、ステンレスの市場開発活動や調査統計事業、標準化事業など行い、業界の発展に貢献して参りましたが、これらは協会のコア事業として今後も充実させていく必要があります。
 さらに、需給両面で市場が一層国際化して行く中、国際ステンレスフォーラム(ISSF)などを通じた国際動向の把握を進めつつ、環境問題や通商問題などへの対応等、協会としての取り組みを適宜適切に進めて行かなければならないと考えております。
 最後になりますが、会員各社の格別のご指導とご支援をお願い申上げ、会長就任のご挨拶とさせていただきます。

 

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