年頭所感

 

ステンレス協会 会長
関谷 慶宣
(JFEスチール株式会社 
常務執行役員 )

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は、新型コロナウィルスの感染が国・地域によって格差はあるもののワクチン接種などの進展により減少に転じ、世界経済も総じてみれば回復基調となった一年でした。コロナにより社会が変化する中でも人の流れや経済活動が回復したことで、我が国のステンレス産業におきましても需要の復調が鮮明になりました。 今後も半導体などの供給制約、資源の高騰、また新型コロナウィルスの新たな変異型による感染拡大リスクなど不透明感はあるものの、感染の減少と経済の回復が継続するものと期待をしています。
このようにコロナ禍の克服がようやく見えてきましたが、世界は米中対立の深刻化を始めとした経済安全保障の問題、気候変動の問題など多くの難題に直面しています。それらは我が国のステンレス産業にも大きな影響を及ぼす問題であり、我々は歴史的な転換点を迎えていると言えます。
昨年にはCOP26が開催され、産業革命前からの気温上昇幅を1.5℃に抑える目標に向かって世界全体が努力することが正式に合意されました。今後、世界は脱炭素化へ大きくシフトし、持続可能な社会インフラ構築に向けた動きを加速していくでしょう。電気自動車の急速な普及や再生可能エネルギー・水素エネルギーへの転換が進み、ステンレスの需要構造も大きく変化すると想定されます。
我々ステンレス産業もこのような歴史的な変革に対応すべく変化を迅速に捉えて行動していくこと、新しい社会や顧客のニーズを捕捉した高付加価値の商品・サービスを創出・提供していくことが必要です。そのためには、長年の研究開発・製造技術をバックとした日本製ステンレスの安定した品質及び多様な商品ラインナップなどの長所をさらに磨き上げていくことが不可欠です。加えて、商社・流通・加工・メーカーなどすべてのステンレス関係者によるきめ細やかなサプライチェーンをさらに強靭化していくことも求められます。そして、これらの強みを駆使し新規の市場開拓・商品開発を強力に推進していくことが重要と考えます。
ステンレス協会と致しましても、世界が大きな変革を迎える中で、これまで以上に業界を取り巻く諸課題に取り組み、我が国のステンレス産業の発展に今年も尽力していく所存でございます。引き続き会員各社及び需要家の皆様のご指導、ご支援をお願い申し上げます。
最後になりますが、本年が皆様にとって幸多き一年となりますことを祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

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