2009年 年頭所感 会長 義村 博

 

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

年頭にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

昨年を顧みますと、何と言いましても米国発のサブプライム問題に端を発した金融危機と更にリーマンショック以降の急激なリセッション(景気後退)が全てと言っても過言ではありません。そして、これが米国にとどまらず、EUや中国をはじめとするアジアなどにも広がり世界的なリセッションを引き起こしております。また、これまで日本経済を支えてきた自動車、家電製品需要の急激な減速が、先行きの不透明感を増大させており、それによる収益環境の悪化を背景に、企業は設備投資に対する抑制姿勢を強めております。

一方ステンレス業界では、活発な設備投資により、生産能力の拡大を図ってきた海外ミルも、急激な需要減退や市況の下落により、一部生産を休止するなど厳しい状況に入ってまいりました。国内では、建築関連需要の低迷が長引く状況下で、民間設備投資が減退し、需要環境は一段と悪化しております。

一方、ニッケルをはじめとする主原料価格の急落が続いており、ニッケル系ステンレスでは先安感が強まる中、需要家の購買意欲が極めて低く、足元では2年ぶりの安値を更新したとも言われております。また、世界の景気後退が引き起こした円高により、海外ミルからの輸入が及ぼす影響も懸念される状況となっております。堅調であったクロム系ステンレスにおいても自動車減産の影響を受け低迷しつつあり、ステンレス全体の需要はピーク時に比べ3~5割減少と一段の需要減に直面しております。これに対し供給面では各社各様に大幅な減産を実施し過剰在庫の早期適性化を図っておりますが、一定の効果は現れつつも、依然として厳しい状況が続いております。
 
このような急激に悪化している厳しい環境下で、今年当協会は創立50周年という節目を迎えます。わが国ステンレス業界にとって、非常に厳しく真に国際競争力が問われる正念場の年となりますが、引き続きステンレス需要の裾野拡大を図る為、「開発」「広報」「調査」「表示問題=正しい表示の普及」活動を積極的に展開し、また、国際競争に耐えうるような規格の充実化、リサイクル性の推進及び環境問題への対応などを図って参ります。

日本のステンレス産業は、これまでに培ってきた世界に負けない豊富な技術の蓄積を糧に、これまでも厳しい局面を幾度となく乗り越えてきてまいりましたが、この度の非常とも言える厳しい状況も会員各社はもとより関係各位の協力のもと皆様の英知を結集し乗り越え、若い人に夢を与え、有能な人材が集結してくるような活性化された業界を目指し、明るい未来に向けたステンレス業界の健全な発展に寄与してまいりたいと考えております。
 
最後になりましたが、ステンレス業界並びに会員の皆様のご健勝とご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。

このページのTOPに戻る