会長就任に際して 久保田尚志 新会長

 

 

 

 

ステンレス協会 会長
久保田 尚志
(日本冶金工業株式会社 代表取締役社長)

 

 この度、ステンレス協会の第84回定時総会におきまして、会長に就任いたしましたので一言ご挨拶を申し上げます。  

 昨今の国際情勢は、ロシアのウクライナ侵攻に端を発したニッケルや原油を含む原材料・資材、エネルギー価格の高騰、ロシアに対する各国の経済制裁強化、急激な円安傾向など、不透明さがぬぐえない状況が続いております。一方、新型コロナウイルス感染症は引き続き注意を要する状況にはありますが、行動制限の緩和による個人消費の拡大などを背景として日本経済は改善傾向が認められるなど、明るい兆しも見受けられます。

 国内のステンレス産業においても足許ゆるやかな需要回復途上にありますが、海外に目を転じれば中国・ASEANでの巨大設備投資によるステンレス供給過剰問題は既に顕在化しており、国内マーケットへの影響も懸念される状況にあります。一方、世界的なカーボンニュートラルの流れが加速し、電気自動車の急速な普及、再生可能エネルギー・水素エネルギーなどへの転換に伴い、ステンレス産業にとって新たなビジネスチャンスになることが期待されます。

 このような歴史的な転換点において、我が国のステンレス産業としては、まずステンレス鋼の持つ多彩な特性・機能を活かして需要・市場開拓を推し進め、新しい社会や顧客のニーズにこたえていく事が重要です。とりわけ社会全体が持続可能な循環型へ移行する中、ステンレス鋼の大きな利点でもあるライフサイクルコスト・リサイクル性が大きな強みとなります。加えて、我々の業界には商社・流通・加工・メーカーなど各分野の皆様が総力で構築した財産とも言える強靭なサプライチェーンが存在します。これらの強みを駆使し、高付加価値の商品・サービスを創出・提供することが、我が国のステンレス産業の更なる発展に繋がると確信しております。

 ステンレス協会は昭和34年の設立以来63年にわたり、市場開発活動並びに調査統計事業、標準化事業などの取り組みを通じ国内のステンレス鋼普及、並びにステンレス産業の発展に貢献して参りました。変化の激しい時代の中、これらの活動の重要性は益々増大しており、今後もこの取り組みを更に充実したものにしていくことが必要です。又ボーダーレス化しているステンレス産業において、世界ステンレス協会(旧ISSF)を通じて国際的な動向を迅速に把握し、国内はもとより世界的なステンレス産業の健全な発展を促すべく情報発信に努める事も必要と考えております。

 最後になりますが、会員各社の格別のご指導とご支援をお願いし、会長就任のご挨拶とさせていただきます。

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