2026年1月1日

年頭所感

ステンレス協会 会長
境  洋介
(日本製鉄株式会社 執行役員 ステンレス事業部長)

新年明けましておめでとうございます。

皆様におかれましては、令和8年の新春を穏やかに迎えられたこととお慶び申し上げます。

改めて昨年を振り返りますと、世界経済は米国の関税政策による大きな混乱が懸念されましたが、米国と主要国との関税交渉の進展により、足元では落ち着きを取り戻しつつあります。しかしながら、米中対立の先鋭化や中国経済の低迷、混迷の度を深めるウクライナ情勢等とあいまって、世界経済は依然不確実性の高い状態にあります。

我が国の経済も、長引くインフレによる個人消費の低迷や、深刻化する人手不足等により足踏み状態にありますが、昨年は新政権の発足後に日経平均株価が史上初めて5万円を突破するなど明るい話題もあり、本格回復に向けて動き出すことを期待します。

我が国のステンレス鋼業界に目を向けますと、インバウンド関連など一部の分野を除き需要の回復が遅れていますが、脱炭素や新エネルギー分野における引き合いが増加するなど、将来への明るい兆しもあります。一方で、過剰生産能力を有する中国からの輸出増加により、各国で通商措置が発動されたこと等を背景に、我が国に対する不公正な価格での輸出圧力が高まっています。当協会としては、公平な競争環境を確保するため、不公正輸入に対するモニタリングを一層強化する必要があります。

そのような中、当協会は、ステンレス鋼の持つ優れた特性を通じて社会課題へのソリューションを提供すべく、本年も歩みを進めてまいります。特に昨年4月の会長就任時にも申し上げた以下2点に関する取組を進めてまいりたいと存じます。

まずは、ステンレス鋼適用による土木・建築物の高耐食化・高強度化です。高度経済成長期に整備され老朽化が進むインフラ設備の更新は、近時益々重要な課題と認識されていますが、更新にあたり、鋼材に高耐食性を有するステンレス鋼を適用することで、設備の長寿命化やメンテナンス負荷の軽減が可能となります。ライフサイクルコストの削減につながるのみならず、人手不足問題へのソリューションともなるものであり、こうしたステンレス鋼の強みを、社会により広く認知いただく必要があります。

2点目は、カーボンニュートラル実現への貢献です。水素やアンモニアなどの脱炭素エネルギーの運搬、貯蔵等の設備にはステンレス鋼が必要とされているほか、リサイクル性が高く長寿命のステンレス鋼は、ライフサイクルにおけるCO2の排出量が少なく、ステンレス鋼の使用自体が脱炭素化につながります。こうしたステンレス鋼の価値を社会に発信していまいります。

最後となりましたが、本年が皆様にとって有意義で実りの多い年となりますことを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

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